油絵絵画の技法
油絵の描写工程 1. 油絵絵画の下描き まずは木炭で軽く当たりを取ります。全体をつかむ感じで、直線を主に描きます。ここで油絵絵画の構図をしっかりと決めます。時間をかけて納得する迄慎重に検討します。油絵を描く上でもっとも重要な行程です。油絵は描きだす前にキャンパスの中心点を求め、構図を決めていくのが重要です。人によっては前段階としてスケッチをしながら構図を決める人もいます。油絵絵画の下書きを木炭でするのは、鉛筆だと油に馴染まず消えにくかったりするためです。あまり黒々と描くのは絵具を着彩した際に黒く汚れてしまうので、さっと薄めに描きます。一枚のぼろきれがあれば木炭を消すのには十分です。ハンカチ大の布切れを何枚も用意しましょう。油絵を描くにあたって、欠かせない道具の一つです。 2.下描き第二段階 油絵絵画は下描きの第二段階に入ります。まずはバーントシェンナを薄く溶いて、再び下書きをします。茶系の絵具だと上に乗せる色に響かないので、下書きに向いた無難な色といえます。木炭の線に沿ってモチーフがもっている明暗を4段階ぐらいのグラデーションに見取って、薄く溶いた茶色で描きます。このときは新たなデッサンをするのと同じように描きます。油絵の下描きが済んだら、次はモチーフの固有色を着ける番です。テレピン油で絵具を薄く溶いて、筆は6~8号くらいの固めの毛が最適です。今、バーントシェンナはほとんど乾いている筈ですので、その上から水彩のようにさらりと薄く、そのものがもっている固有の色をつけていきます。油絵の絵具を擦り込むようにキャンパスにゴシゴシと描き、全体の雰囲気をつかみます。この段階は短時間でできてしまうので、あまり時間をかけません。下描きは細かくまで描く必要はなく、モチーフの輪郭を描くような感じで描いていきます。細かく描いても絵の具を塗っている間に消してしまったり、全体を描きにくくしたりするので、無駄になってしまうことが多いためです。 3.油絵に色を塗る 油絵の下塗りは絵の具を薄く溶いたおつゆの状態で全体を大まかに塗っていきます。始めからモチーフの色を塗っていく方法と、キャンバスの下塗りよりも暗めの色を使って明暗や陰影を付けていく方法があります。後者はモノクロやセピア写真のようなイメージになりますが、使った配色の分だけ色味があります。さらに明暗を付けるため光が当たっている方は明るく、陰になる方は暗くするといった感じで塗っていきます。構図を見据えて絵画に合った下書きの技法を選びます。 4.油絵絵画の描き込み 描き込みとは油絵のモチーフの部分を塗り重ねて行く事です。下塗りが出来ていると絵の具ののりもよくなり、厚めに塗っていく事が可能になります。このとき、油絵にするモチーフを細部までよく観察し、様々な色を重ねて塗っていきます。絵画のモチーフは一見すると単色に見えても、角度や反射の写りこみなどで微妙に色が違います。油絵に何色かの色を塗り重ねることによっで絵具の層が出来ますし、モチーフの質感も出て来ます。塗る際には筆だけでなくナイフも使用します。光や影の立体感を直線的に描くためです。油絵の描き込みではモチーフを観察しながら明るい部分、暗い部分を塗り重ねていきます。絵画にするモチーフの質感によって光の当たり方も違いますので、良く観察することがとても重要です。油絵の絵具を塗り重ねていく時は乾いてから塗るのはもちろんですが、乾かないうちに塗っていく事も出来ます。この時は絵の具を乗せるような感じで素早く置いていくだけにとどめます。油絵の絵具を盛り上げる事を油絵独特の表現方法でインパストといいます。絵具のつけ方として、一般的に強調したいところとか明るいところは絵具をたっぷりとつけます。そして広いところもそれなりに絵具の量が必要です。狭いところや暗いところは絵具の量は少なくします。筆のタッチはとても大事となります。画面に絵具を置くような感じで、なるべくタッチを残すようにしましょう。絵画の対象物の輪郭線に沿ったタッチは使わずに物の面を描くようにすると、立体感が出やすくなります。 5.背景の配色 油絵の背景はモチーフの色と関連して見ていかなければなりません。例えば絵画にするモチーフの色が明るい場合、背景も明るい色にするとモチーフの印象が弱くなってしまいます。色が暗かった場合も同じです。一般的には対象物の色と同じ調子の色で背景を描くのは避けたほうが無難です。モチーフが鮮やかな色なら背景は反対にくすんだ色を選ぶことで、絵画としての作品の中心をはっきりさせる効果が生まれます。ただし、同系色を使うという事に関しては一概に悪いとは言えません。色の調子や鮮やかさを変えればモチーフを引き立たせることも出来るからです。例えばモチーフの色が暗かった場合、背景を同系の明るい色を使うことで油絵全体の印象を強くすることが出来ます。反対にモチーフが明るかった場合は背景を暗くすれば、同系色を使った一体感ある引き立て方が可能です。また、背景を描く時は光の方向も考えます。光が入ってくる側の背景は暗く、対象物が暗くなっている側の背景は明るくします。こうする事により絵画の中に空間が広がり、立体的に見えるようになります。